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研究開発用シミュレート熱処理炉の設置

金型用鋼メーカーの日本高周波鋼業(社長 池田辰雄)は、工具鋼の大型化に対応して油冷から焼きなましなど広範囲の熱処理条件を再現できる「研究開発用シミュレート熱処理炉」を同社の研究開発センター(富山県新湊市、富山製造所内)に2004年9月より導入し、工具鋼の熱処理性能の抜本的向上に取り組んでいる。
この熱処理炉は熱処理する試験片の温度を直接制御するため、従来実験室的には困難であった大型鋼材内部の温度履歴の正確なトレースや特殊な熱処理パターンについて、設定通り正確に試験片温度をコントロールすることができる。また、真空中や雰囲気中での熱処理が可能なため熱処理に関わる鋼材表面性状の分析や変寸挙動の正確な解析ができる。これにより実機大型金型内部の機械的性質や熱処理変寸を忠実に再現できるようになった。
本熱処理炉の本格稼働により、同社で実施している熱流体解析ソフトによる熱処理条件設計や熱処理シミュレーション技術と連携して熱処理中の鋼材の種々組織変化を詳細に分析し、新鋼種の成分設計、組織制御技術の開発や熱処理技術開発を加速する。これら研究開発設備の充実によって製品の差異化、高付加価値化を進めていく。
また、「KD11S」や「KDAMAX」など主力鋼種、新鋼種の熱処理技術に関するユーザーからの要請への迅速な対応や、関連会社(株)カムスの熱処理を技術的に支援する基盤がより強化され、同社の工具鋼素材の品質信頼性を一段と高める。